夜なかなか眠りにつけないとき、今日のことを思い出してください。
日中外に出て日の光を浴びましたか?
夜遅くに明るい光にあたりませんでしたか?
これらはすべて不眠につながるのです。
その理由について詳しく説明していきます。
夜型の社会
20~30年ほど前のことを考えると、近所に24時間営業の店はほとんどありませんでした。
町は夜になると暗くなり、出歩く人も少なかったのではないでしょうか。
しかし、現在の夜は以前とは激変しました。
コンビニエンスストアでは夜通しまぶしい光。
街は朝まで明かりが絶えることがなくなったのです。
テレビも24時間放送、インターネットも自由に夜通し楽しむことができます。
こういった住環境が、夜眠れないということにつながるようになりました。
体内時計とは
昔の人の生活は、夜明けとともに目覚め、日が沈むと寝るというものでした。
日中は外で思う存分活動します。
このような生活は、私たちの脳にある「体内時計」が、生活リズムをコントロールすることから成り立っています。
体のあちこちに存在する体内時計。
この本来のリズムは、25時間単位になっています。
もし、太陽の光のないところで生活したとすると、人間は約25時間で規則的に寝て起きるようになるのです。
ところが現実の時間は、1日24時間。
何も刺激のない真っ暗なところでは、この1時間のズレがどんどん広がっていきます。
体内時計の修正
この体内時計と実生活のズレをリセットしているのが「メラトニン」というホルモン。
脳の松果体という部分から分泌されています。
睡眠ホルモンともいわれるメラトニン。
睡眠と覚醒のリズムをコントロールしており、この分泌には太陽の光が重要な役目を果たしているのです。
朝、太陽の光を浴びると、体内時計が松果体にメラトニン分泌の信号を送ります。
すると14~15時間後に分泌されます。
そして夕方から夜にかけて分泌量が増えることで、眠れるようになります。
メラトニンが体内に蓄積されることで、体温、脈拍、血圧を抑え、眠りを誘うのです。
このメラトニンの分泌する時間を決めているのは、目から入る強い光。
このことが重要なポイントとなります。
その光が朝日であれば問題ありません。
しかし、強い光であれば太陽光でなくても信号をだしてしまうのです。
つまり夕方から深夜にかけて光を浴びると、体内時計は「今が朝だ」と勘違いして、体内時計をリセット。
そして眠れなくなります。
コンビニエンスストアの明かりは2000ルクスほど。
例えば仕事帰りにコンビニやスーパーで買い物をするだけで、これほどの強い光を浴びてしまい、メラトニンが分泌される時間がズレてしまうのです。
そして本来眠くなるべき時間帯に眠くならない状況に陥ります。
正しい生活リズム
このように、夜中でもまぶしい光が輝き続ける現代の24時間型社会。
人々は知らず知らずのうちに夜型生活になってしまい、不眠に悩むようになります。
そして夜起きていることで、さらにまた眠れなくなる。
この悪循環を断ち切るためには、夜明るすぎる光を浴びないことが大切です。
朝は太陽の光を浴び、体内時計を刺激してメラトニンが正しい時間帯に分泌されるリズムを作ります。
例えば、寝室のカーテンを少し開けておくと、朝日が入り込んで目を覚ますことができるでしょう。
日中は、日光浴をすること。
散歩をしたり、外に出て活動をしたりすることを心がけ、日光を浴びる時間をふやしましょう。
目安としては、30分から1時間ほどの日光浴でかまいません。
そうすることで、夜間のメラトニンの分泌量を増やすことができます。
曇りの日でも、空がどんよりと曇っておらず、ある程度の明るさがあれば外へでましょう。
そういった日でも、1万ルクスほどの明るさがあるものです。
夜は変に気負って早い時間に布団に入ることは逆効果です。
それよりは早起きして、日中は日光を浴びて活動し、夜はいつもの時間に寝るようにします。
そうすれば自然な眠気が訪れるでしょう。
日光浴は天然の抗うつ剤
不眠だけでなく、うつやうつ傾向のある人にとっても、日光浴は大切なもの。
自然の抗うつ剤といえます。
うつ状態になると、おっくうになる外出。
しかし、思い切って外出して日光浴をすることで症状が改善することもあるのです。
まとめ
最近は1日中仕事で室内にいた、という人もいるかもしれません。
しかし日光浴は大切なもの。
お昼休みの1時間でも、外に出て光を浴びたいものですね。
歩いてランチをしに行くだけでもいいかもしれません。
正しい生活リズムを手に入れて、自然な眠りを手に入れましょう。