大切な会議、聞き漏らしてはいけない講義、まじめに聞いてあげたい友人の相談事。
真剣に向き合おうとしているのに、つい、あくびが出そうになったということは、誰でも経験があると思います。
あくびは本当に「悪」なのか。
誰にでも起こりえる身体の現象について、少しひも解いてみたいと思います。
あくびの原因は本当に眠気なの?
大切な話をしている時に、目の前の相手が大きなあくびをしたら、ちょっと不快な気分になりませんか?
「失礼なヤツ」と思いますよね。
「私の話が面白くないからだ…」と、少し自分を責めてしまうかもしれません。
赤ちゃんは、眠る前になると大きくあくびをします。
大人も夜テレビを観ながらあくびがでると「そろそろ寝ようか」と思うものです。
このように、確かにあくびは「眠くなった時のサイン」として出ているように感じます。
誰でも、その感覚がわかるからこそ、真剣な話をしている時に相手があくびをすると「あなたの話に興味はない」と伝えられているようで不快に感じるわけです。
あくびの動作を意識してみると
あくびの生理的なメカニズム、原因はいまだ解明されていない部分も多いのですが、実は、「眠りたい」という感情とは反対の現象が起きていることがわかっています。
まず、普段あまり意識していない、「あくびの仕方」を分解してみましょう。
- 大きく口を開く
- 長く息を吸い込む
- 短く息を吐く
あくびの特徴は、息を吐く時間よりも、吸っている時間の方が長いことです。
わざわざ「あくびの仕方」を意識している人はいないと思いますから、中には「あくびは息を吐くもの」だと思っている人もいるかもしれませんね。
しかし、実際には、1度のあくびでこれだけの動作をしているのです。
体内で何が起きているの?
肺が換気不良になると、肺胞が委縮して縮んでしまうことがわかっています。
あくびをする理由の一つに、この縮んだ肺胞に、たくさんの酸素を送り込もうとする動作なんです。
体内に酸素が足りなくなると、脳の中枢神経の働きも鈍くなりますから、集中力が無くなり、ぼーっとするなどの症状が出てきます。
もう一つ、あくびをする時、大きく手を上げたり、肩を広げて胸を開こうとしたりする動作をしませんか?
これも、肺により多くの酸素を摂りこもうとして行う動作で、無意識に深呼吸をしているというわけです。
- 肺に酸素を摂りこむ
- 脳の働きの活性
- 疲労の回復機能
こうしてみると、あくびの働きは「眠るため」ではなく、むしろ「眠気から遠ざける」働きをしていることがわかりますよね?
つまり、あくびをする理由は「眠気の合図」ではなく、酸素をたくさん摂りこんで、覚醒しようとするためなのです。
あくびをした後、頭がスッキリしたように感じるのは、新鮮な酸素が身体全体に行き渡ったからなんです。
まとめ
あくびは、身体を覚醒させるために起こる機能なので、原因は「眠たい」のサインではないということですが、裏返して言えば、「眠くなりそう」という気分を、事前に阻止しようとする機能ということですね。
単純作業をしている時や興味が持てない講義を聞いている時、まじめな会議の最中など、あくびが連鎖してしまうというは、あくびをする人の多くは「退屈」「眠くなりそう」という思いを抱いているということです
やはり、眠気とあくびは深い関係があることには間違いなさそうです。