癌になりやすい働き方が、研究でも明らかになっていることをご存知でしょうか。
それは、睡眠に深く関係のあるホルモン、メラトニンが関係しています。
今回は癌になりやすい働き方とメラトニンの関係についてご紹介したいと思います。
長期間にわたる交代勤務は、癌になりやすい
2007年、International Agency for Research on Cancer (国際がん研究機関:WHOの下部組織)が交代勤務従事者と乳がん発症の関連性を示唆し、交代勤務を癌リスク要因として正式に認定しました。
これまでの研究で、夜間の交代勤務を月3日以上行ってきた女性(ナースやフライトアテンダントなど)は、日勤だけの女性に比べて乳がんリスク1.36倍、子宮内膜がんリスク1.47倍、直腸がんリスク1.35倍高いと報告されています。
男性でも、交代勤務では前立腺がんの発症リスクが3倍高いとの日本の研究者の報告もあります。
癌発症はメラトニンが分泌されないことが関係している?
癌になるメカニズムは多々ありますが、その1つに夜間に光をあびることでメラトニンが分泌されないことが関係しているのではと推測されています。
メラトニンはワンダーホルモン!
実はメラトニン、体の健康に重要な役割を果たしています。
メラトニンといえば、眠りに関係していることがよく知られていますが、それ以外にも、
- 抗酸化作用
- 抗腫瘍効果
- 免疫賦活作用
- フリーラジカルのスカベンジャー作用
- 抗アドレナリン作用
- 抗高脂血症作用
- 血小板凝集抑制作用
などをもつホルモンなのです。
つまり、メラトニンは、老化を防ぎ、免疫力を高め、がんや心臓病を防ぐなど多くの効用があり、ワンダーホルモンと称されています。
米国ではドラックストアでサプリメントとして販売されており、日本に比べて容易に購入ができます。
メラトニンは、太古の時代から生物を守っていた!
また、メラトニンは35億年前から存在していることが確認されています。
なぜかというと、地球上に存在し続けてきた藍藻(らんそう、シアノバクテリア)がこのメラトニンを有しているからです。
この藍藻は葉緑体を有しており、光合成を行って26億年前に大気中の酸素を作り出したといわれています。
しかし、この酸素はちょっとしたきっかけで有害な活性酸素に変身します。
この酸素の害から藍藻を守ったのが、メラトニンだと考えられています。
つまり、昼間のあいだに傷ついた体を、夜の間に修復して翌日の生命活動に備える働きがメラトニンの作用なのです。
しかし、現代社会では多くの人が夜眠ることを忘れて光を浴び続けているために、気づかないうちに健康被害を受けている可能性があります。
まとめ
眠りに関係の深いホルモン、メラトニンが、他の作用で健康も守っていたなんて驚きです!
それだけ、睡眠は健康維持のために重要だともいえそうですね。