あなたは自分はよく眠れていると思っていますか?
短い睡眠でも大丈夫と思っている人はいませんか?
そういう人も実は「かくれ不眠」かもしれません。
最近問題視されているかくれ不眠。
そのタイプと弊害について説明します。
かくれ不眠とは?
「かくれ不眠」は、最近生まれた言葉です。
2011年2月3日「不眠の日」に発足した「睡眠改善委員会」によって名づけられました。
軽度でかつ短期の不眠のことを言います。
短期というのは、だいたい1ヶ月未満のことになります。
その間に「よく眠れない」「睡眠不足が続く」といった状態が頻繁に繰り返されると、それはかくれ不眠といえます。
「私はナポレオン型だから4時間睡眠で大丈夫」
「若いし体力もあるから、徹夜してもへっちゃらだ」
というように、睡眠時間が短いこと自慢する人こそ、かくれ不眠である可能性が高いのです。
人間の最適な睡眠時間は7時間プラスマイナス1時間。
これは科学的にも明らかです。
「自分は短眠型だ」と豪語するのは、単なる希望的観測であり思い込みなのです。
自分が大丈夫だと思い込んでいる人に限って、かくれ不眠によって、健康や生活、仕事に悪い影響を与えていることが少なくありません。
かくれ不眠のリスク
最近多くの研究・調査により、かくれ不眠が健康や生活に及ぼす弊害が次々に判明しています。
睡眠の専門家の間でも放置しておけないという話になり、睡眠改善委員会が立ち上がりました。
かくれ不眠のリスクは次の二つ。
- いずれ本格的な不眠症へ陥る危険性が高いこと
- かくれ不眠そのものが生み出す悪影響
①については、分かると思いますが、不眠症に進行してしまうと、体や心に深刻なダメージをうけてしまいます。
そうなると完治するために必要なことは、長い時間と専門的な治療。
これらは身体的、精神的にも苦痛を伴い、生活や仕事にも大きな不利益を与えてしまうのです。
②についてですが、かくれ不眠はさまざまなデメリットを生み出します。
眠りの質が悪くなることによって、集中力の低下、仕事の効率の低下、そして生活の質の低下とどんどん悪い方向へと進んでいきます。
また驚くべき影響は、抜け毛・薄毛と不眠との関係。
さらに人間関係への悪影響。
かくれ不眠は、夫婦ゲンカのもとになるという調査結果もあるのです。
20代~40代のかくれ不眠者と快眠者の男女521人に「配偶者とのコミュニケーション」に関する調査を行ったところ、かくれ不眠者の方が夫婦間に問題があることが分かりました。
「つい感情的になり口ゲンカをしてしまう」ことや「夫婦間の会話が少ない」傾向が強かったのです。
もちろん見逃せないのは健康への悪影響。
不眠は自律神経のバランスをくずしてしまいます。
消化器・血管系・内分泌腺、生殖器を調節する自律神経。
私たちの生命活動の根幹をつかさどっていますので、その働きが低下してしまうとさまざまな体調悪化を引き起こしてしまいます。
実際、かくれ不眠は、肥満、高血圧、糖尿病、うつなどの重大な危険因子になると、多くの調査・研究で証明されています。
あなたはかくれ不眠?
かくれ不眠チェックシートで自分がかくれ不眠かどうかを確認してみてください。
どれか1つでも当てはまればかくれ不眠といえます。
「かくれ不眠診断テストシート」
- 寝る時間はバラバラで毎日決まっていない
- 平日にあまり眠れず、休日に「寝だめ」をしている
- 朝、「よく寝た」「ぐっすり眠れた」と思えない
- 寝つきが悪いことがよくある
- 夜中に何度も目が覚める
- 起きる予定の時間よりも早く目が覚める
- 昼間に居眠りをすることがよくある
- 集中力が続かず、イライラしてしまう
- 面白そうなことがあっても、なかなかやる気がでない
- 自分は睡眠時間が少なくても大丈夫
- 眠れなくても異常なことではないと思う
- 仕事が忙しいときは、深夜まで起きて頑張る
どうでしょうか?
自分がかくれ不眠なのかもしれないと感じた人は、どのタイプに当てはまるかもチェックしてみましょう。
かくれ不眠は5つのタイプに分けられます。
かくれ不眠の5つのタイプ
生活不規則タイプ
仕事が忙しいために生活が不規則になってしまい、睡眠時間がしっかりととれない。一見生活や体調には支障がないように見えますが、身体機能のバランスがくずれていることも。
自分は大丈夫タイプ
実際は睡眠をきちんととれていないのに、それがマイナスであることに気づいていない。最も不眠症に近いといえる。
高ストレスタイプ
量と質が不十分な睡眠によって、イライラしたり無気力になったりする。それがストレスとなり、またかくれ不眠を生み出すという悪循環に陥るタイプ
眠りが浅いタイプ
常に眠りが浅く、眠っていても熟睡できていない。お年寄りに多かったが、最近は若い世代でも増えており、原因の究明が大切となっている。
初期かくれ不眠タイプ
睡眠について何らかの悩みがあるが、軽微なかくれ不眠症状が見られる程度の人。睡眠環境を見直すのがおすすめ。
自分がどのタイプかを見いだし、そこから改善点を探っていきましょう。
かくれ不眠の対処方法
2010年12月にエスエス製薬が調査したところ次のような結果が出ました。
20~49歳の男女1万7777人のうち、かくれ不眠に該当すると判別された人はなんと80%。
ところが大多数は、自分が不眠だと気がついていなかったり、気づいていても気にしていなかったりしたのです。
かくれ不眠の対処で最も大切なことは、自分がかくれ不眠だと認識することです。
妙な思い込みや勘違いは捨て、客観的な目で自分の睡眠状態を見てみてください。
そしてかくれ不眠だと分かったなら、すぐに改善のために行動するのです。
「早寝、早起き、三度の食事」。
快適な睡眠を得るための基本は、リズミカルで規則正しい生活。
夜はその日のうちに入眠し、7時間ぐらい寝ると良いでしょう。
ただし、過度に厳格になる必要もありません。
自分で生活リズムを決め、それからできるだけはずれないように心がけることです。
しかし、かくれ不眠の症状が長引く場合や、チェックシートで10個以上当てはまった場合には、睡眠の専門医へ早めに受診しましょう。
まとめ
もし自分がかくれ不眠だったらと思うと少し怖いですね。
でも他人ごとではないのです。
最近寝つきが悪い日が続くな、と思うことは誰しもあることです。
そういったときは、早めに生活習慣を見直し、対処していきましょう