寝ている間に歩き出す子供に多い夢遊病(睡眠時遊行症)とは?症状と原因

夢遊病人が遊行している画像

夢遊病と聞くと、夢で起こっていることが、現実で動いてしまう病気、というイメージがあります。

しかし、ある研究結果から、どうやらそうでないことがわかりました!

今回はそんな夢遊病について対処法、そして、症状や原因について書いていきたいと思います。

目次

夢遊病(睡眠時遊行症)の人への治療法や対処法とは?

夢遊病の人が遊行中に、ほかの人が話しかけたり、そのような行動を止めようとしたり、無理に起こそうとしたりすると、激しく抵抗して暴れたり、暴力をふるうこともあります。

そこで、遊行中は無理に起こそうとはしないで、優しく部屋に誘導するようにするとよいでしょう。

また、朝になってそのことを尋ねても、本人にはまったく記憶がありません。

問い詰めたりすると、本人が不安になって夜寝るのが怖くなることもあります。

睡眠時遊行症は睡眠不足になるほど起こりやすいので、夜に怖がって眠れないと、ますます症状がひどくなるという悪循環になります。

たいていは自然に治りますので、あまり心配せず、本人には遊行中のことを尋ねたりしないほうがよいでしょう。

また先述のとおり、目を開けて複雑な行動をとってはいますが、必ずしも周囲の物がはっきりと認識できているわけではありません。

何かにつまずいて転倒することもよくあります。

事故防止のためにも、寝室には危険なものを置かないことや、寝室や玄関のドア、窓は施錠しておくことが大切です。

夢遊病(睡眠時遊行症)の原因は夢を見ているから!というのは間違いです

夢遊病になってしまう原因は、

  • ぐっすり眠れていないから
  • 夢を見ているから


と思われがちですが、実は違います。

夢遊病という言葉のイメージから、夢遊病者は夢をみている最中に体が勝手に動いて夢の中をさまよっているかのように思いがちです。

ところが、夢遊病の症状はレム睡眠中(浅い眠り)には現れません。

レム睡眠とも、夢ともまったく関係がない状態で夢遊病の症状が起こります。

実はこの夢遊病の症状は、睡眠がもっとも深い状態である除波睡眠(段階3と4)の時に起こります。

その最中には夢をみていませんので、現在では夢遊病という言葉は使わずに、「睡眠時遊行症」とよばれるようになりました。

夢遊病に似ている「レム睡眠行動障害」では人は夢の中と同じように行動する!

夢遊病と似ている症状に「レム睡眠行動障害」という症状があります。

これは、見ている夢を眼で追いかけるように見る人達のことです。

普通は、レム睡眠中は夢を見ていても体が動かないよう、全身の筋肉が弛緩しています。

ところがレム睡眠行動障害では、レム睡眠中に体が動いてしまうのです。

この人たちは寝ながらときどき暴れ出します。

はっきりとした声で叫んだり、こぶしを振り上げて殴りかかろうとしたり、足で何かを蹴ろうとしたりするのです。

隣で寝ている人は大変です。

寝ている最中に殴られたり蹴られたりすることもありますし、起こそうとしても起きずに暴れますので大変危険です。

本人自身も壁や家具に手足をぶつけて大怪我をすることもあります。

夢の中で誰かと争ったり、喧嘩したりしても、健常者であれば体は動きませんが、レム睡眠行動障害者では夢の中でみているのと同じように体が動いてしまうのです。

相手が見えていないと殴りかかることはできませんから、明らかに夢の中にいる「相手」をみていることがわかります。

したがって、レム睡眠行動障害の眼球運動は、夢をみようとして生じていると考えることができます。

子供に多くみられる夢遊病(睡眠時遊行症)はどんな症状なのか?

睡眠時遊行症は就床してから2~3時間後までによく現れます。

除波睡眠がその時期によく現れます。

子供にもよくみられる現象で、17%の子供にみられることが報告されています。

発症のピークは8~12歳で、思春期になるとほとんど自然消滅します。

ベッドの上を起き上がったり、部屋の中を歩き回ったりします。

階段を昇り降りしたり、台所で水を飲んだりすることもあります。

中には押入れでおしっこをしたり、玄関のドアを開けて外に出てしまったりする子どももいます。

眼は開いているのですが、生気のない顔をしています。

このような行動が、およそ数分から数十分続いたあと、自分でベッドに戻る子どももいますし、寝室以外のところでそのまま寝てしまう子どももいます。

睡眠中にこのような複雑な行動をとればふつう眼が覚めるはずなのですが、本人は眼が覚めないのです。

このことから、睡眠時遊行症は、睡眠中に覚醒できない覚醒障害の一つであると考えられています。

夢を見る原因はレム睡眠中に眼が動くことで夢が現れます!

夢遊病の人とは対照的に、健常者はどうやって夢を見ているのでしょうか。

ずばり、レム睡眠中に、夢をみていることが多いです。

レムとは急速眼球運動(rapid eye movement)の頭文字です。

睡眠中に眼がキョロキョロとよく動くことをレムといい、睡眠中にレムがみられるのがレム睡眠で、レムがみられない睡眠をノンレム睡眠といいます。

レム睡眠中に起こすと、夢をみていたという報告率はおよそ80%になります。

ただし、レム睡眠中でも眼がよく動く時期と、あまり動かない時期があり、それによって夢の報告率は異なります。

眼がよく動く時期で起こした時のほうが夢の報告率が高く、夢の内容も鮮明です。

このことからレム睡眠中の眼の動きは、夢の内容と関連していると考えられています。

この眼球運動と脳活動に注目した研究結果があります。

それによると、レム睡眠中の夢の発生メカニズムは、

  1. まず、レム睡眠中にレムが生じ、
  2. これが後頭視覚野を刺激して夢の映像が浮かび上がり
  3. さらにこの情報が他の脳部位に伝わって夢内容が展開されていく


このように考えられることが分かりました。

また、夢は脈絡なく次々と場面が変わっていきますが、レム睡眠中に眼が動くたびに視覚野が刺激されて、新しい映像が浮かび上がると考えれば、このことの説明がうまくつきます。

まとめ

夢遊病は、夢が原因だと思っていましたが、それは間違いで、深い睡眠のときに夢遊病の症状が起こっていたなんて驚きですよね。

もし睡眠時遊行の人に出会ったら最初は慌ててしまうかもしれませんが、優しく、かつ危ないことがないか見守る、という姿勢が大切のようです。

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